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「面会させたくない母親」と「子供に会えない父親」

投稿日:
更新日:2020/08/19
「面会させたくない母親」と「子供に会えない父親」

兵庫県伊丹市で起きた、娘と面会交流中の父親が無理心中を図った事件

先日、兵庫県伊丹市のマンション一室で娘と面会交流中の父親が無理心中を図り、父娘が遺体で見つかった事件がありました。

各ニュースによると、父親は昨年11月に離婚調停において離婚が成立し、母親が娘を引き取って育てており、事件当日は調停後の最初の面会交流の日で、父親の自宅で面会を行っていたとのことです。

まずお伝えしたいのが、小さい命を一方的に行うこのような殺人行為は絶対に許されるものではありません。

それでも、この事件を知ったとき、私自身も色々と複雑な思いがありました。この事件の父親を非難することは簡単ですが、問題はそれ程単純なものでもありません。

仕事柄、母親側の代理人も父親側の代理人もほぼ同数程度担当しております。その為、「面会させたくない母親」の気持ちも、「子供に会えない父親」の気持ちも最低限理解しているつもりではあります(もちろん、本当の意味で本人にしか分かり得ない感情はあると思いますが・・・)。

面会交流を実施すべきでなかった、もしくは実施が困難なケースも少なくありません

裁判所は、近年、面会交流の実施には非常に力を入れています。鹿児島家庭裁判所では、お子様がいる件の離婚調停では、事前に親権や面会交流に関するガイダンスも実施されております。裁判官や家裁調査官は「面会交流はお子様の健全な発展の為には必要不可欠なものです。」、「夫婦間で離婚は成立しても、親子間の縁は切れないように相互が協力すべきです。」と繰り返し説明されます。

もちろん、原則として面会交流が円滑に実施されるべきであることは否定しません。しかし、今回の件のように、結果的に面会交流を実施すべきでなかったと思われるケースも少なくありません。

他方で、何ら危険性が無いにも関わらず、相手に対する一方的な嫌悪感から面会交流を拒絶されてしまうケースもあります。特に面会交流を拒絶された場合、仮に調停や審判等で明確に(例えば「月1回の面会交流を行うことを約束する」等)条項を定めていたとしても、相手方の任意の協力を得られない場合は円滑に面会交流を実施することができず、事実上強制執行等も出来ないという場合もございます。

離婚調停での面会交流の実施方法とは

離婚調停でどのような流れで面会交流を実施していくかというと、家裁調査官が両親やお子様の意向調査や家庭訪問等を行いつつ、最終的に双方が実施方法を詰めていく形になっています。もっとも、家裁調査官の調査も限界がある為、当事者の真の意向を確認することはできません。

仮に、表面上は納得した上で調停を成立させたとしても、内心は様々な不信感や絶望感を抱えているケースも少なくありません。恐らく、今回の事件の父親も、調停委員や母親も全く想像できないような絶望感のようなものを抱えていたのかもしれません。

親権・面会交流でお悩みの方は、一度ご相談ください

現在の法制度の中で、本当の意味で親権や面会交流の問題を双方が完全に納得する形で解決する方法はありません。私自身もこれらの問題については日々悩みながら、皆様にとってはもちろん、何よりもお子様にとって一番幸せな形を模索しております。

親権・面会交流についてお悩みの方は、一人で悩まれず、一度当事務所にご相談下さい。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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