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「養育費はいつまで支払われる?支払期限に関する実際の相談を元に弁護士が解説」養育費 Q&A

投稿日:
更新日:2024/09/06

 「養育費をいつまで支払うかで争っています。夫は高校を卒業する18歳までと言っていますが、私は 大学を卒業するまで支払ってもらいたいと思っていますが可能でしょうか……?」
 このようなご相談がございました。2020年4月から、成人年齢が18歳となりましたが、養育費の支払いについてはどのような影響があるのでしょうか。
 この記事では、養育費の支払いがいつまでになるのかケース別に解説を行い、養育費をしっかりと払ってもらうための方法と、支払いを勝手に止められた場合の対応についても合わせて解説いたします。

1:養育費はいつまで支払われる?

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 そもそも養育費はいつまで支払われるのでしょうか?
成人年齢引き下げ前の多くの事例では、18歳から22歳までの間での養育費支払をと認める事例が多かったですが、この点について解説いたします。

養育費の支払い期限とは?

 養育費については、そもそも、法律上、支払い終期について明確に定めた条文はありません。むしろ、「養育費」という言葉自体が民法に明確に記載されておりません。
 このため、養育費の支払い期限が法律から一律に決まるということもありません。それゆえ、成人年齢が引き下がったとしても、当然に養育費の支払い期限が早まるということもありません。

養育費の基礎となる法律と原則

 一般的に、民法877条1項が定める父母の直系卑属に対する扶養義務に伴う支払いが「養育費」と呼ばれています。これまで、養育費の支払いを受ける権利のある対象者は、「未成熟子」と呼ばれていました。「未成熟子」とは、実務上「自己の資産又は労力で生活できる能力のない者」のことを言うとされ、具体的な年齢は定められておらず、個別具体的な事情に応じて支払い期限が判断されていました。
 このため、養育費については、高校卒業時又は大学卒業時として、18歳又は22歳までを支払い期限とすることが多かったのです。また、子どもが幼少であることなどから、大学進学するか分からない・判然としないことを重視し、中間的な20歳(当時の成人年齢でもありました。)を支払い期限とすることもあったといえます。
 ですから、これまでも、成人年齢である20歳を基準とすることはあったにせよ、成人年齢を養育費の基準としなければならないとするまでの原則は存在しなかったといえます。

養育費の取り決め方法とスムーズな協議の進め方

 とはいえ、成人年齢引き下げに伴い、離婚交渉時に養育費の支払義務を負う方が、「養育費の支払い期限を18歳とするべきである。」と主張することが増えてきたことは事実です。
 このような場合には、上記のとおり、養育費の支払い時期を成人時と合わせなければならないわけではないことを示しながら交渉を行うことが必要といえます。法律上の根拠を示しながら相手方を説得するのであれば、早期の段階で交渉自体を弁護士に任せてしまった方がスムーズといえます。

2: 養育費の支払い期限に関する条件とケース

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 さて、続けて、養育費の支払い期限が問題となるケースについて、見ていきましょう。

成人年齢と養育費の関係

 成人年齢に達したとき(18歳になったとき)を養育費の支払い期限とする必要がないことは先ほどご説明したとおりです。
 実際、成人年齢引き下げに関する民法改正時には、参議院の付帯決議においても、「成年年齢と養育費負担終期は連動せず未成熟である限り養育費分担義務があることを確認するとともに、ひとり親家庭の養育費確保に向けて、養育費の取決め等について周知徹底するなど必要な措置を講ずること。」が決議されています。
この点からも、成人年齢の引き下げ自体は現時点で直接的に養育費の終期に影響するものではないといえます。既に法改正が施行されてある程度の期間が経過しておりますが、実務上は、養育費の支払い期限を18歳とする事例は少ないといえます。

大学進学や大学院進学の場合の養育費支払い

 ちなみに、仮に養育費の支払い期限を18歳までと定めた場合であっても、その後の事情により子どもが4年制大学に進学すれば、その時点で改めて親に対して学費の援助を請求することも可能です。この場合、子ども自身が請求を行なっていくこととなります。
 また、同様に大学院進学が決まった場合には、「自己の資産又は労力で生活できる能力のない者」とまではいえないかもしれませんが、学費の援助等を養育費として請求することが可能な場合があります。
 大学にせよ、大学院にせよ、私立の学校に進学して学費が多額にかかる場合には、このような費用は別途協議の上請求をすることが通例といえるでしょう。離婚時に、子どもの学力・両親の学歴や婚姻中の教育方針を踏まえてこの点を意識し、私学に進学した際の学費の負担割合について決めておくこともあります。

就職が決まった場合の養育費はどうなる?

 逆に、養育費の支払い期限を20歳や22歳までとしたものの、子どもがそれ以前に就職して働き始め、自立するようになった場合には、養育費の支払い義務がなくなる場合もあります。このような場合には、養育費を支払う親と改めて協議を行う必要があるでしょう。
 場合によっては、養育費を支払う親から調停等の法的手続を起こされる可能性もありますから、そのような場合には、早期に弁護士に相談・依頼するべきといえます。

成人になったが自立していない場合

 また、子どもに障害がある場合など、子どもが成人しており、大学進学をしていない場合であっても、「自己の資産又は労力で生活できる能力のない者」でなくなったといえないこともあるでしょう。
 このような場合には、父母の扶養義務が無くなったとはいえないこともあるでしょうから、子どもの成人後も養育費支払い義務が継続することがあります。離婚時にこのような自体が想定される場合には、養育費支払い期限を設定しないなど、合意内容に工夫をする必要がありますから、専門家である弁護士への相談・依頼をすることが重要といえます。

3:再婚・相手が再婚した場合の養育費支払い

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 また、父母のいずれかが再婚した場合の養育費支払いへの変動の有無も、気にかかる方が多いでしょうから、以下でご説明いたします。

親の再婚が養育費に与える影響

 父母のいずれかが再婚した場合には、それだけで直ちに養育費の金額が変わったり、そもそも養育費自体が消滅したりする事例は多くはありません。とはいえ、新たに子どもが生まれた場合など、養育費の変動が生じやすい場面がありますので、この点については注意が必要です。

相手が再婚した場合の養育費の扱い

 相手方、つまり養育費を支払う側の親が再婚した場合には、相手方が扶養するべき者(再婚相手)が増えることになります。しかしながら、これだけで直ちに養育費の支払い額が下がる事例は多くはありません。
 養育費を定める場合には、将来一定程度、養育費を支払う者の収入が変動したり、再婚したりすることが想定されています。その上で養育費を定めることが多いため、再婚自体が相当程度想定されていた場合には、養育費の変動事由とはならないことがあるためです。また、相手方が不貞相手と再婚した場合など、再婚相手の扶養を子どもへの扶養に優先することが許容されない事例もあります。
 他方で、相手方と再婚相手との間に新たな子どもが生まれた場合には、新たな子どもに対して扶養義務が生じること、新たな子どもへの扶養を劣後させることは子どもにとって酷であることなどから、元の子どもに対する養育費支払い額が減額される場合が多いです。

自分が再婚した場合の養育費の扱い

 自分、つまり養育費を受け取る側の親が再婚した場合であっても、再婚相手が子どもとの養子縁組をしないと、養育費の金額が変わることはありません。なぜなら、再婚しただけでは、法律上子どもとの親子関係は構築されず、再婚相手に扶養義務が生じないためです。
 仮にあなたが再婚をしただけであって子どもと再婚相手とが養子縁組を結んでいない場合には、相手方から養育費の減額を求められても、これに応じる必要はないといえます。

養子縁組があった場合の養育費支払い義務

 再婚相手が子どもと養子縁組を結んだ場合には、再婚相手にも子どもの扶養義務が生じます。また、子どもの扶養義務を第一次的に負うものと考えて養子縁組を結んだものと理解するのが一般的ですから、再婚相手と比較して養育費を支払う親の扶養義務の程度が小さくなります。このため、養育費の金額が下がったり、再婚相手に充分な収入がある場合には養育費支払い義務自体が免除されたりすることとなります。
 通常、離婚後には、父母がお互いに再婚したか否かを知ることは少ないでしょうが、再婚したことや養子縁組を結んだことが明るみに出た場合には、養育費の減額調停が起こされる可能性があります。この場合には、養育費が減額又は免除される可能性もありますので、早期に弁護士への相談・依頼をするべきでしょう。

4:養育費の取り決め・合意方法と公正証書の重要性

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 養育費について取り決める場合には、協議による場合、調停による場合、審判による場合と、大別して3種類の決め方があります。以下、ご説明していきますが、特に協議によって養育費を取り決める場合には、強制執行を可能とするため、公正証書によることが重要です。

養育費の合意取り決め方法の流れ

 協議によって養育費の合意取り決めをする場合には、夫婦間で話し合って養育費額を取り決め、合意書を取り交わすことが一般的です。場合によっては、養育費額の交渉時から、弁護士への相談・依頼をされる方もいらっしゃいます。
 弁護士への依頼を早期になさった方が、その後の調停・審判まで見据えた交渉・相手方の説得ができますから、有利に交渉を進めることができる可能性があがるでしょう。

家庭裁判所を利用した調停・審判の手続き

 父母の協議によって養育費を定めることができない場合には、家庭裁判所を利用して調停・審判によって養育費を定めることを目指すこととなります。
 調停は、父母が裁判所(調停委員)を間に挟んで協議をする手続となります。このため、協議による合意形成ができなかった父母は、調停において合意形成をすることも困難であると考えられます。調停での合意形成(調停合意)ができなかった場合には、審判へと手続が移行することとなります。
 審判は、裁判官が両当事者の提出した資料を基に養育費を算定して判断を下す手続となります。通常、養育費額は父母双方の収入によって定まることが多いですから、適正な金額での合意が出来ない場合には、裁判官の判断に委ねる方が良いといえます。
 調停・審判によって養育費の金額を定めた場合には、相手方が養育費を支払わなくなった場合に、直ちに強制執行をすることができます。この点がメリットとして存在しますので、最初から調停・審判手続を行う選択もあり得るでしょう。

公正証書での養育費取り決めのメリット

 とはいえ、裁判所を間に挟んで協議することには、ある程度良好な関係のまま離婚する父母の関係を悪化させるリスクや、弁護士の費用がかさんでしまうコストなどのデメリットもあります。他方で、お互いに協議の上養育費を取り決めたとしても、その取り決め・合意には、養育費未払時に直ちに強制執行をするだけの強制力がありません。
 これらのデメリットを解消する中間的な手段としては、公正証書によって養育費を取り決めることがあり得ます。公正証書では、「強制執行受諾文言」という特殊な条項を挿入した合意書を締結することで、裁判所を用いた解決時と同様に、養育費未払時の強制執行が直ちに行えるメリットがあります。
 このため、相手方と協議・交渉によって養育費を定めることができ、かつ、相手方と同席して公証センター(旧:公証役場)に赴くことができる関係性はあるという場合には、公正証書による養育費支払い合意書を作成することをお勧めいたします。もちろん、公正証書による合意書は専門的ですから、文案作成や当日の合意書作成時の代理行為を弁護士に依頼することも有益といえます。

5:養育費の強制執行手続きと対応策

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 それでは最後に、養育費未払時の強制執行手続きについてご説明いたします。

養育費未払い時の強制執行手続き

 相手方が養育費を支払わない場合には、調停・審判・公正証書による取り決めがあれば、直ちに強制執行をすることが可能です。この際、相手方の勤務先が分かっていれば賃金債権を、相手方の保有する預貯金口座が分かっていれば預貯金債権を、それぞれ差し押さえることができます。
 多くの方は、離婚時に相手方の勤務先を知っていることが多いですから、賃金債権を差し押さえることが多いです。養育費未払の際の差し押さえでは、賃金債権の手取額の2分の1までを差し押さえることが可能ですから、その効力は多大なものといえます。

強制執行の手続き方法と注意点

 強制執行手続は、各地方裁判所にて行います。この手続はかなり複雑で、必要書類に不足があったり、記載事項に形式的な不備があったりすると、強制執行実現に時間を要することとなる点に注意が必要です。
 また、相手方の勤務先・保有預貯金口座が判明していなければ強制執行ができませんので、例えば財産開示手続など、他の手続を併用する必要がある点にも注意が必要です。
 いずれにせよ、養育費についての強制執行をする場合には、専門家である弁護士にご依頼された方が良いでしょう。

5:まとめ

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 以上、養育費について、金額が変動する場面などについて詳細に解説いたしました。養育費にお困りの方、離婚を考えていて養育費についても検討している方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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