ニュースレター94号掲載
今回は、浮気・不倫(以下、「不貞行為」といいます。)をされた場合に、その責任追及を誰が誰に対して行うことができるのか解説します。不貞行為についての法律上の責任追及は、損害賠償請求(慰謝料請求)という形で行われます。
不貞行為の場面では、単に金銭的な解決を求めたいという側面だけでなく、気持ちを整理するために行いたい側面もあるのではないでしょうか。本解説では、気持ちの整理といった点も踏まえながら、不貞行為の慰謝料請求の相手方等について解説します。
不貞行為の慰謝料は、不貞行為者の配偶者が、不貞行為を行った者に対して請求するのが原則です。すなわち、不貞行為を行っていたAの配偶者であるBが、不貞行為を行っていたA及びその不貞相手C(以下では、この方々を「不貞行為者」といいます。)に対して慰謝料請求を行うことになります。それでは、不貞行為者(AまたはC)が亡くなった場合、不貞行為者の配偶者Bが亡くなった場合、それぞれ誰が誰に対して慰謝料請求することができるのでしょうか。
第一に、不貞行為者(AまたはC)が亡くなった場合について検討します。この場合、まず、原則通り、不貞行為者の配偶者Bが、存命の不貞行為者(CまたはA)に対して慰謝料請求をすることが可能です。これに加えて、死亡した不貞行為者(CまたはA)の相続人に対して、不貞行為者の慰謝料債務を相続しているとして慰謝料請求することも法律上は可能です。もっとも、この場合、相続人に対する慰謝料請求は行わないケースが多いのではないでしょうか。存命中の不貞行為者に請求でき、気持ちの整理の面からも事足りると考える方が多いためです。
第二に、不貞行為者の配偶者Bが亡くなった場合はどうでしょうか。この場合、不貞行為をしていたAとCは存命ですが、不貞行為者の配偶者Bが亡くなっており、そもそも誰が慰謝料請求をするのかが問題になります。不貞行為者の配偶者Bの相続人であるDは、不貞行為者であるAやCに対して、慰謝料請求できるのでしょうか。このとき、不貞行為者の配偶者Bが有する、A・Cに対する慰謝料請求権が、Bの相続人であるDに相続されるのかが問題になります。すなわち、慰謝料請求権は本人の主観的な感情を根拠とする請求権であるため、本人が死亡した後になってまで相続財産として承継させるべきなのかが問題になります。この点について、最高裁判所は、他の債権と同様、慰謝料請求権も当然に承継されるとの立場を取っています。そのため、Bの相続人であるDは、Bの慰謝料請求権を相続したとして、不貞行為者A・Cに対して慰謝料の支払いを求めることができます。ただし、相続人が相続放棄をしている場合や慰謝料請求権が時効消滅している場合、慰謝料請求はできませんので、これらの点については確認する必要があります。
このように慰謝料請求ひとつをとっても、法的請求にはさまざまな論点があり、法律に関する横断的な理解が必要になります。弁護士法人グレイスでは、各部門の弁護士が高い専門性を有しており、必要に応じてチームを組みながら事件対応をいたします。法的なお困りごとがある際は、まずはぜひ弁護士にご相談ください。
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