ニュースレター109号掲載
父母が離婚すると、通常、子(未成年子)は、そのいずれかの親に養育監護されます。こうしたケースで、非監護親(子を育てない側の親)と子が会う機会を設けることを「面会交流」(あるいは「面接交渉」)と呼びます。これは、子と非監護親の双方の権利と理解されていますが、面会交流は子の福祉を最大限に尊重して行うべきというのが裁判所の一般的な見解であり、非監護親がどれほど希望しても、面会交流の実施が子の福祉を害すると判断されれば、非監護親の権利は法的な制限を受けます。面会交流の禁止事由としてよく挙げられるのは次の5つです。
すなわち、①「連れ去りの危険」、②「非監護親による子の虐待の過去」、③「監護親が非監護親から暴力等を受けていた」、④「子自身による面会交流の拒絶」、⑤「監護親・非監護親の再婚」です。ただし、これらに該当したからといって直ちに面会交流が禁止される訳ではなく、各家庭の具体的状況、子の心理状態等に照らして個別的に判断されます。
面会交流の内容、つまり、日時、頻度、場所、面会時間等の事項は、父母が子の福祉に配慮しながら協議して決めるのが原則です。協議がまとまらない場合は、父母いずれかが管轄の家庭裁判所に対して面会交流調停を申し立てることで解決が図れます。面会交流調停は、調停委員会(裁判官1名+調停委員2名)に家庭裁判所調査官(子の心理学を学んだ裁判所の専門職員)が加わり、裁判所の中で話合いを行う手続です。
面会交流は、可能な限り話合いでの解決が望ましいとされているため、裁判所も相当の時間を割いて調停に関与します。申立てから1年を越えてもまだ調停手続中ということも普通にあります。
それでも話合いがまとまらない場合、調停は不成立となり「審判」と呼ばれる手続に自動的に移行します。審判では、当該事件の面会交流の在り方を裁判官が判断して決めます。この審判の内容については法定の定めがなく、基本的に裁判官の自由心証に基づく裁量判断となります。裁判官の判断方法としては、面会交流を認める、認めない、間接的交流(写真の送付等)に限定して認めるという3つがあります。また、面会交流を認める場合でも、監護親がこれに従わない際に強制執行可能な態様で判断するものとそうでないものがあります。最高裁の判例では、強制執行を可能とするためには、「面会交流の日時又は頻度」、「各回の面会交流の時間の長さ」、「子の引渡しの方法」など、監護親側が具体的に何をしなければならないかが一義的に明らかにされている必要があるとされています。
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