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パパ活は不倫?慰謝料請求される場合とされない場合

投稿日:
更新日:2024/07/12
離婚・慰謝料コラム 不倫・浮気 慰謝料

パパ活は不倫?慰謝料請求される場合とされない場合

「既婚男性と恋愛関係になり、その奥さんから慰謝料を請求されてしまった・・」そのような話をどこかで一度は聞いたことがあると思います。しかしそれだけでなく、近年若い女の子の間ではやりつつある「パパ活」によっても、同様の事態が起こりうることをご存じでしょうか。

パパ活によって慰謝料請求されてしまう場合がある

パパ活とは、女の子が男性と一緒の時間を過ごす対価としてお金を得ることを意味します。もっとも、パパ活といっても様々で、単に食事やデートをするだけの場合もあれば、手をつなぐ、キスをする、さらには性交渉に至るようなケースも少なくありません。

近年、SNSの普及とともに、パパ活をお小遣い稼ぎの感覚ではじめる女の子が増えているようです。たしかに、楽しいひと時を提供する見返りにお金を望む女の子、お金の見返りに女の子と楽しい時間を過ごしたい男性、ここだけを切り取ってみれば、両者はいわば「win-winな関係」ともいえます。

しかし、その男性が既婚者であれば話は別です。もし仮に、結婚している男性が妻以外の女性とデートやキスをしていれば、多くの人がそれを「不倫」と思うでしょう。それと同様、いくら両者がお金で割り切った関係であっても、既婚男性と親密な関係を持つことは不倫にあたります。すなわち、既婚男性とのパパ活は不倫にあたり、場合によっては高額な慰謝料を請求されてしまう危険性すらあるのです。具体的には、以下のような場合が考えられます。

①不貞行為にあたる場合

不貞行為とは、端的に言えば「既婚者と性交渉をすること」を意味します。これは法定離婚事由の1つでもあり(770条1項1号)、これにあたる場合には慰謝料請求を覚悟しなければならないでしょう。それに対して、裁判所は不貞行為にあたるかを「性交渉の有無」という点から判断するため、単にデートやキスをする程度であれば、直ちに慰謝料とは結びつきません(その意味で、厳密には不倫と不貞行為は区別され、不倫はより広い概念といえます)。

また、たとえ行為に及んでいたとしても既婚者であること知らないのであれば、故意・過失を欠くため、慰謝料を支払う必要はありません(民法709条参照)。ただし、安易に独身であると誤認したにすぎない場合には、「過失あり」として、なお慰謝料責任が生じる可能性がある点に注意が必要です。

②婚姻関係にひびを入れるほどの親密な関係になった場合

他方、性交渉に至っていないとしても、男性と親密な関係になったことが原因で婚姻関係を破綻させてしまったのであれば、やはり慰謝料を請求される可能性があります。この場合、「平穏な婚姻生活の維持」という法的に保護される権利を侵害したことになるからです。すなわち、行為に及んでいないからといって安易に安心はできないのです。

本末転倒の事態にならないために

一般に、不貞行為に対する慰謝料は50万円から300万円程度が相場とされており、お金を稼ぐために安易な気持ちではじめたことが、かえって大損する結果となってしまうかもしれません。そして何より、望まない性交渉を強いられたり、相手がストーカー化したりと、犯罪に巻き込まれる危険性も十分に孕んでいます。そのため、どうか慎重な判断・行動を心がけてほしいと強く思います。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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