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夫が妻に対して、別の女性と子どもができたことを理由として婚姻費用分担金の減額を求めた事件

投稿日:
更新日:2024/07/19
事例紹介 婚姻費用

名古屋高等裁判所平成28年2月19日決定(判例タイムズ1427号116頁)

事案の概要

抗告人(夫)が、妻(相手方)に対して、別の女性と子どもができたことを理由として婚姻費用分担金の減額を求めた事件です。

関係図

 平成21年に成立した夫婦関係調整調停において、夫は別居期間中の婚姻費用を月額50万円で支払うこととの調停が成立していましたが、夫が後に他の女性との間に子供を養育するようになり、婚姻費用を月額20万円に減額するよう求めました。原審では、この申立てが信義誠実の原則に反するとして却下されましたが、夫が即時抗告しました。

裁判所が認定した事実

1.夫は、平成21年の調停成立後に他の女性複数人との間に子供が合計3人生まれ、それぞれ扶養義務を負うようになった。

2.調停成立時に妻は無収入であり、妻の収入を前提に婚姻費用が決められたが、その後妻が不定期ながら託児の仕事を請け負うようになり、賃金構造基本統計調査報告に基づき年収119万9582円を認定した。

3.夫の総収入は、平成26年度確定申告書に基づき、2287万8413円と認定した。

本件争点

1.事情変更の認定:
・夫が他の女性との間に子供を認知し、その扶養義務を負うようになったことは「事情の変更」に該当する。
・妻が一定の収入を得るようになり、稼働能力が認められることも「事情の変更」に該当する。

2.婚姻費用額の算定:
標準算定方式及び標準算定表に基づき、夫が他の女性との子の扶養義務を負っていること、妻が一定の収入を得ることができることを考慮し、婚姻費用を月額46万円から39万円に減額するのが相当と判断した。

弁護士の視点

 婚姻費用を算定するにあたり夫が妻以外の女性と子どもができたことを考慮するかどうかで、原審と抗告審の判断が異なった事例です。原審は、妻以外の女性との間の子を理由に婚姻費用を減額することは許されないと判断しました。一方で、抗告審は、不貞相手との子であっても等しく扶養を受ける権利があるとの理由で、子の利益を優先した判断を下しました。裁判所が、当事者間の事情よりも全体としての子の利益を優先した判断として、参考になる裁判例です。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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