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住宅ローンのある自宅不動産の財産分与について

投稿日:
更新日:2024/07/25
離婚・慰謝料コラム 財産分与

第1 はじめに

家

 離婚をする場合、多くの場合は別居時までに存在した婚姻期間中に形成した財産を清算する「財産分与」が行われます。対象となる財産は不動産や車、株式など多岐にわたりますが、今回は住宅ローンのある自宅不動産の財産分与の方法についてご紹介します。

第2 アンダーローンとオーバーローン

 住宅ローンを組まずに自宅不動産を購入した、あるいは住宅ローンを組んで自宅不動産を購入したが既に完済した場合には、自宅不動産の評価額をもって分与割合(通常は夫婦で2分の1ずつ)を分けることになります。

 一方、離婚時に自宅不動産に住宅ローンが残っている場合、自宅不動産の価値が残ローンを上回る場合(いわゆるアンダーローン)と残ローンが自宅不動産の価値を上回る場合(オーバーローン)で処理の仕方が異なります。

アンダーローンの場合

 アンダーローンの場合、住宅の評価額から残ローンを差し引いた金額が財産分与対象財産となります。
例えば、評価額1000万円の自宅不動産に600万円の残ローンがある場合、1000万円―600万円=400万円が財産分与対象財産となります。これを2分の1ずつ分けた場合、互いに200万円の分与を受けることになります。
どちらか一方が不動産を取得する場合、取得する方が取得しない方に対し、差額を支払うことになります(上記例で一方が自宅不動産を取得する場合、一方はもう一方の分与額まで取得することになるので、差額の200万円をもう一方に分与する必要があります)。

オーバーローンの場合

 一方、オーバーローンの場合、主に次のパターンが想定されます。

(1) まず、オーバーローンの自宅不動産以外に金額の大きい財産分与対象財産が存在しない場合です。この場合、自宅不動産を取得する方が住宅ローンを引き継ぎます。

(2) 次に、オーバーローンの自宅不動産以外に別の財産分与対象財産が存在する場合です。

たとえば、自宅不動産の評価額が500万円、残ローンが700万円であり、その他に夫の預貯金が300万円、妻が保有する評価額200万円の株式が存在する場合を想定します。

a ①オーバーローンの自宅不動産は財産分与対象財産から外し、それ以外の財産を分与するという非通算説の考え方を採用すると、財産分与対象財産は夫の預貯金300万円と妻の株式200万円のみとなります。したがって、2分の1ずつ分与する場合、夫は妻に対して50万円を分与することになります。

b 他方、②オーバーローンの自宅不動産も財産分与対象財産に含めて財産を分与する通算説の考え方を採用する場合、残ローンも含めて計算をすると、自宅不動産500万円+預貯金300万円+株式200万円―残ローン700万円=300万円が財産分与対象財産となります。2分の1ずつ分与する場合、夫婦はそれぞれ150万円を取得することになります。

c かりに、②の場合、夫が自宅不動産を取得すると、夫の保有する財産は自宅不動産500万円+預貯金300万円―残ローン700万円=100万円となり、妻が保有する財産は200万円の株式となるため、妻が夫に対し、50万円を分与することとなります。

(3) このように、①非通算説と②通算説を採用する場合で結論が大きく異なります。現在の実務では②通算説が一般的な考え方であり、①非通算説は例外的であるとされます。理由としては、債権者に対する住宅ローンの支払いの責任と、夫婦間で負った債務は夫婦間で平等に分けるべき責任があるという考え方に基づきます。確かに、住宅ローンを考慮せず、ローンの名義人である夫が全てを引き受ければ、今後夫は一人でローンを抱えることとなり酷であるといえるでしょう。しかし、ローンの支払いを継続すれば、いずれは資産価値がローンを上回ることにもなりますし、その家に住むことができる以上、夫には居住利益があると考えれば、不公平とも言い難い面もあるのではないでしょうか。

 最終的にどちらの説を採用するかは、事案に即し個別具体的な「一切の事情」をもとに判断されることになります。確たる判例もない部分であり、判断基準や考慮要素など、判例の蓄積が待たれるところです。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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