モラハラ離婚の証拠として有効なものと証拠がない場合の対処法
モラハラの証拠として有効なもの
モラル・ハラスメント(いわゆるモラハラ)を理由とする離婚をする場合には、モラハラの証拠の有無が重要となります。以下、どのような証拠が有効か、ご説明します。
受けたモラハラの内容を書いた日記やメモ
モラハラの内容を日記に書いたり、メモとして残したりした場合、これらは証拠となります。証拠としての力を高めるためには、モラハラの内容を後から追記したのではないかと指摘されないように、自分自身で自分宛てにメールやLINEとして送信し、作成日も証拠化すると良いです。
モラハラの暴言を録音・録画したデータ
モラハラの暴言を録音・録画したデータも有効な証拠となります。配偶者が物に当たる方であれば、その様子を録画することも有効です。夫・妻が暴言を言う様子を録音・録画しておくと、のちに裁判などになった場合にも、裁判所にモラハラの事実があったと主張しやすくなります。相手方から、会話の一部の切り取りであると指摘されないように、前後のやり取りと共に録音・録画できると、より良いです。
ちなみに、モラハラの暴言を録音・録画する場合、相手方の同意を得ずに録音・録画したとしても、ほとんどのケースで民事裁判の証拠として利用できますので、ご安心ください。
配偶者から送られてきたメールやLINE(SNS)など
配偶者から送られてきたメールやLINE(SNS)も有効な証拠です。夫・妻による暴言や、不当な要求など、モラハラの事実を直接証明する証拠となります。また、配偶者に対して「●月●日に『~~』と言ったのは、どうしてですか?」と送信するなどして回答を得ると、モラハラ発言を自分で認めた証拠としての利用もできます。
ご自身からすると嫌な内容ですから、配偶者と別居する際などにメールやLINEの履歴を削除してしまう方が多くいらっしゃいますが、証拠を自ら捨ててしまわないよう、注意が必要です。これらの記録は、必ず保存しておきましょう。
精神科や心療内科の通院履歴や医師の診断書
精神科や心療内科の通院履歴や医師の診断書は、モラハラの事実とこれによってあなたが被った精神的苦痛を証明するための証拠となります。精神科や心療内科で、医師に配偶者からの暴言などを具体的に説明していると、医師がカルテにその内容を記載してくれることもあります。また、医師が診断書を発行してくれれば、モラハラによる影響を客観的に示すことができます。
精神科や心療内科を受診することに強い抵抗感がある方もいらっしゃいますが、あなたの状況を客観的に把握する意味でも有用ですから、積極的な受診をお勧めします。
家族や友人などによる第三者のモラハラの証言
家族や友人などによる第三者のモラハラの証言は、証拠としての力はやや落ちますが、有利な証拠であるといえます。自分との関係だけが強い方ですと、証言の信用性に疑義が生じますので、夫婦双方と関係性のある方にご証言をいただけると、より良いです。この場合も、あとから証言をもらうのではなく、モラハラといえるような言動があった際に、家族・友人からメール・LINEなどを送信してもらって、目撃がなされた日を明確にしておくと有用です。
警察・公的機関への相談履歴
警察・公的機関への相談の履歴は、モラハラ行為の存在と重大性を示す証拠となります。配偶者から、「殺すぞ。」と言われたりするなど、生命・身体への危害を加えるような暴言を受けた際には、警察に相談すれば脅迫罪に関する相談履歴が残ります。また、モラハラ事例ですと、強要罪による相談が可能な場合もあります。警察・公的機関への相談履歴は、のちの裁判などのために開示提供を受けることもできますので、証拠化のために遠慮せず、相談をするべきであるといえます。
なお、本当にモラハラ的言動が激しい場合や、暴力まである場合には、警察に被害届を出すことも検討しましょう。
モラハラの証拠を集める上での注意点
モラハラの証拠を集める上では、証拠の内容が有効かどうかに注意する必要があります。
例えば、最も有効と思える録音・録画であっても、配偶者の言葉を撮ったものか(別人の声ではないか)、本当に配偶者が一方的に悪いのか(モラハラ発言の前に、録音者からの攻撃発言・煽る行為がないか)などが問題となるためです。
また、日記・メモや、相手方から送付されたメール・LINE等のSNSであっても、書かれている内容から直ちにモラハラといえるか微妙な場合があります。ご自身では「これはモラハラだ!」と感じる内容であっても、訴訟ではモラハラの証拠として足りなかったり、メモとしての具体性が欠けていたりするのです。
このような証拠の有効性については、ぜひ早期に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。弁護士であれば、訴訟において裁判官にどのように見られるかまで考慮した上でアドバイスをすることができます。
モラハラの証拠が集めにくい理由
とはいえ、そもそもモラハラの証拠を集めることは困難な場合が多いです。モラハラは、身体的暴力と異なり、暴言や不当な要求、支配によって被害者の精神を蝕みます。それゆえ、目に見える形で怪我が残らないので、証拠し獲得が難しいのです。
また、モラハラ的言動は、突発的に起きます。このため、録音・録画証拠を集めようとすると、モラハラ的言動が起こるかどうか分からないまま、長時間にわたって録音・録画を続けなければなりません。相手に録音・録画していることを知られないようにする必要もあるため、緊張感を保ちながら生活を送ることとなってしまいます。
更に、収集した証拠も、配偶者と同居しながら、配偶者に見つからないように気を遣わなくてはなりません。データとして保存できるものであれば隠しやすいですが、それでも、モラハラをはたらく相手が携帯電話やパソコンの中を見ないとは限りません。このような危険があるご家庭であれば、早期に弁護士に依頼をし、証拠保管も弁護士にしてもらう方が良いでしょう。弁護士としても、証拠を随時確認して助言・離婚交渉開始時期の決定ができます。
モラハラは証拠がないと離婚できない?証拠がない場合の対処法
今までご説明したとおり、モラハラの証拠は様々ありますので、上記注意点に留意しながら証拠を集めれば、離婚協議・調停・裁判などを有利に進めることができます。
このため、証拠がない場合には、まずは証拠を集める方法を検討しましょう。一番簡単に準備ができる証拠は、日記です。配偶者からされたことをできるだけ具体的に日記に付けたり、メモしたりするようにしましょう。モラハラ的言動があったことをのちにでっち上げたものと指摘されないように、自分でモラハラ内容を記載したメールを自分に送付するなど、日付が残る形で記録すると良いです。また、家族・友人などの第三者に対して、メール・LINE等の文章として残る形式でモラハラについて相談しておくことも役立ちます。これらの証拠の準備方法や、証拠の有効性については、ぜひ弁護士の助言を受けることをお勧めします。弁護士であれば、訴訟になった場合まで見据えて証拠の集め方や有効な証拠の内容について、あなたが受けているモラハラに合わせて具体的なアドバイスをすることができます。
では、逆に証拠がない段階では、モラハラを理由とする離婚はできないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。そのような場合でも、協議離婚や調停離婚で配偶者の納得を得た上で離婚することは充分可能です。協議や調停であれば、証拠の有無にかかわらず、離婚することと離婚の条件について相手が納得すれば、双方の合意で離婚を成立させることができます。とはいえ、モラハラをするような夫・妻は、なかなかモラハラ的言動に問題があると思っておらず。また、配偶者を自己の支配下に置きたがりますので、離婚に応じないこともままあります。このため、モラハラを理由とする離婚を考える場合には、早い段階から、専門家である弁護士に依頼をしてしまう方がよいでしょう。
まとめ
以上のとおり、モラハラの証拠として有効なものと、モラハラの証拠がない場合の対処法についてご案内しました。モラハラを理由とする離婚では、慰謝料を請求することにも困難が伴いますし、離婚交渉をすること自体も大変な苦痛を伴うでしょうから、早期に弁護士に依頼してしまう方が良いといえるでしょう。
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