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裁判離婚が認められる5つの事情とその解説

投稿日:
更新日:2024/08/30
離婚・慰謝料コラム その他 離婚準備

子供

離婚は多くの夫婦にとって悩ましい問題ですね。
その「離婚」という問題を正しく理解するには、まず「裁判離婚」と「合意による離婚」の違いを理解することが重要です。
簡単に言えば、「裁判離婚」とは一方が離婚を求めている一方で他方がそれを拒んでいる際に裁判所が命令して離婚させる手続を、「合意による離婚」とは文字どおり夫婦が合意して離婚する手続をいいます。「合意による離婚」はさらに、「調停離婚」と「協議離婚」に分かれます。
この記事は、このうち「裁判離婚」に関するものです。
夫婦の一方が離婚を求め、他方がそれを拒む場合、どういった事情があれば家庭裁判所が離婚を命じるのかという問題を取り扱っています。
結論から申し上げると、民法770条1項が定める次の5つの事情があれば家庭裁判所は離婚を命じることとなります。

1号 配偶者の不貞行為

配偶者に不貞行為があった場合、原則として、裁判離婚が認められます。
非常にシンプルな話ですが、「不貞行為」とは何か、という問題について、法律の定めはありません。
では、「不貞行為」とはどういう意味なのでしょうか。
この点は、裁判所の解釈に大きく委ねられた問題と言えますが、最高裁判所の判例によれば、夫婦の一方が「自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を指すとしています(最高裁昭和48年11月15日判決)。
また、最高裁判所は、この「性的関係」について「相手方が自由な意思に基づくものであるか否かは問わない」とも述べ、男女双方が愛し合って不倫しているような場合に限らず、強姦のようなケースであっても当てはまるとしています。
つまり、強姦犯に妻がいる場合、強姦犯はその妻に対して「不貞行為」をはたらいた、ということになり、妻が離婚を求めたら、強姦犯(夫)がどれだけそれを拒んでも裁判離婚が成立することになります。
では、売買春行為を行った場合、それは「不貞行為」に当たるでしょうか。
古い最高裁判例の中には、この問題について「妻の身分のある者が、……夫の意思に反して他の異性と情交関係を持」つことを指して民法770条1項1号の「不貞行為」に当たると判断した例があります(最高裁昭和38年6月4日判決)。この最高裁がいう「情交関係」とは売春行為を指しています。
もっとも、この最高裁判例は、なぜか法律家の間であまり知られていません。
売春行為が不貞に当たるか、という論点は、日本全国で多数争われていますが、下級審判決を見ていると、この判例に触れることなく「不貞行為」に当たらないと判断している例が散見されます。
「不貞に当たる」と判断している例もあるのですが、訴訟になった際は、裁判官を盲目的に信用せず、自らに有利な先例を引用して説得する等の努力を行うことが重要となります。

2号 配偶者による悪意の遺棄

配偶者が悪意で遺棄してきた場合は、法律上の離婚原因となります。
民法770条1項2号の「悪意」や「遺棄」とは何なのでしょうか。
この点についてもやはり明確な法律の定めはなく、その意義は、裁判所の解釈にゆだねられています。
といっても、この解釈について最高裁判例はありません。
地方裁判所の判決にはなりますが、知られた裁判所の解釈例として次のようなものがあります。
「悪意」 社会的・倫理的非難に値する要素を含むものであって、積極的に婚姻共同生活の継続の廃絶という結果を企図し、あるいは認容する意思のこと
「遺棄」 正当な理由なく同居および協力扶助義務を継続的に履行せず、夫婦生活と呼ぶにふさわしい共同生活を維持することを拒否すること
難しい表現ですが、敢えて夫婦関係を壊すような別居や放置行為を行い、かつ、それが社会的に許されざるような特殊な状況にある場合、と理解してよいかと思います。
この「社会的に許されざるような」というのがなかなかハードルが高く、家庭裁判所の実務においても「悪意の遺棄」が認められることは多くありません。

3号 3年間以上に渡る配偶者の生死不明

配偶者の生死不明が3年以上続いた場合、裁判離婚が認められます。
生死不明であることが必要であり、所在不明(生きてはいるがどこにいるか分からない状態)では足りません。
3年という期間の起算点は、最後に生存が確認された時点、具体的には最後に会った時や最後に連絡を取った時点です。
なお、3年以上の生死不明を理由に裁判離婚が成立した後、「実は生きていましたよ」と配偶者がひょっこり姿を現した場合、離婚は取り消されるのでしょうか。
結論として、取り消されません。
ご安心下さい。

4号 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないこと

回復の見込みがないか否かは、実際上、主治医等の専門家の意見が支配的な意味を持ってきます。
もっとも、この民法770条1項4号を理由として裁判離婚が成立するケースはかなり少ないとされています。
最高裁判所の過去の判例でも、単に「回復の見込みのない強度の精神病」に陥っているだけでは足らず、病者の今後の療養・生活を維持するための手段を講じ、それが維持される見込がつかなければ裁判離婚は認めないとしています(最高裁昭和33年7月25日判決)。

5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

民法770条1項5号は、1号の不貞行為と並び、家庭裁判所の実務においてよく主張され、また、よく認められる類型です。
この規定は、「包括条項」とも呼ばれ、1号~4号に該当しないものの裁判所が離婚を認めるべきと考えるような事情を包括して規定されたものとされています。
たとえば、長期間による別居や過度の暴力・暴言によって客観的に見て夫婦関係の実態が失われたような場合が想定されています。特に前者、つまり、長期間別居による実質的婚姻関係の喪失は、よく主張されます。
では、長期間の別居とは具体的にどの程度を指すのでしょうか。この問題について明確な規定はありません。裁判所の判例もこの点について明確な判示をしておらず結局は個別判断です。婚姻期間と比較して判断されることになりますが、実務的な感覚論としては、3年程度別居して音信普通の状態が続くと認められることが多いように思います。

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実際の裁判では、上記5つの事情の有る無しについて双方が弁護士を就けて法律論を闘わせることになります。
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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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