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慰謝料請求しないほうがいいケースとは?不倫・浮気の慰謝料請求の注意点も併せて徹底解説

投稿日:
更新日:2024/12/04
離婚・慰謝料コラム 慰謝料

1.慰謝料請求しない方が良いケース

離婚、その中でも、相手方配偶者による不倫・浮気を理由とする離婚をお考えの場合には、不貞慰謝料を請求することが念頭に置かれることと思います。このような場面では、相手方による不貞に対して怒り心頭!とお感じの方も多いでしょう。

しかしながら、このようなケースであっても、慰謝料請求をしない方が良い場合があります。どんな事例であっても十把一絡げにして「慰謝料請求だ!」と判断するべきではないということですね。

以下では、慰謝料請求しない方が良いケースをご紹介した上で、不倫・浮気の慰謝料請求の注意点についても併せてご説明いたします。

不倫以前から夫婦関係が破綻していた場合

別居

まずは、不倫以前から夫婦関係が破綻していた場合が挙げられます。

夫婦関係が破綻したのちの不倫については、最高裁によって、不貞慰謝料請求が退けられたケースがあるため、慰謝料請求のために金銭的・時間的コストをかけても、実りが薄い場合があるのです。

平成8年の最高裁判例によれば、不貞行為があったとしても、「婚姻関係がその当時(=不貞行為時に)において破綻していたときは、特段の事情のない限り」、不貞をした者が慰謝料支払義務を負わないとしています。

これは、婚姻関係が破綻している場合には、「婚姻協同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」があるといえないからであるとされています(最高裁平成8年3月26日判決・民集50巻4号993頁)。

では、どのような場合に婚姻関係が破綻したといえるのでしょうか。裁判例においては、別居の有無・別居期間と、夫婦間の交流の有無が重視されているようです。

具体的にあなたのケースが「婚姻関係が破綻したケース」に該当しうるのか否かは、弁護士による助言を受けて判断するべきといえるでしょう。

証拠がなく、不倫を否定されている場合

次に、証拠がなく、不倫を否定されている場合も挙げられます。不倫を否定している配偶者は、通常、調停においても訴訟においても、不倫を否定しがちです。特に確たる証拠がない場合は、強気に不倫の事実を否定するでしょう。

このようなケースでは、裁判に至った場合に、証拠がないことを理由として慰謝料請求が認められない可能性が高いです。

そうしますと、やはり費用や時間を投じて取り組んだとしても見返りが期待できないこととなってしまいます。このケースは、不貞慰謝料を請求する際の証拠の重要性を示す事例といえるでしょう。

特に不貞を理由として別居・離婚をすることをお考えの際には、別居してしまうと証拠獲得が難しくなりますから、別居前にできるだけ多くの証拠を押さえるよう留意してください。

また、証拠の内容次第では、裁判において有効なものとはいえない可能性もありますから、どのような証拠であれば有効なのか、ぜひ弁護士に一度ご相談ください。

慰謝料の金額が期待できない場合

慰謝料の金額が期待できない場合も、不貞慰謝料請求をしない方が良いケースとして挙げられます。

不貞慰謝料の相場は、概ね30万円から300万円程度といわれますが、裁判例の傾向として多いのは100万円から150万円の範囲での慰謝料認めたケースです。 不貞慰謝料が200万円を超える事例は、不貞の期間が長期間に及ぶなど、稀なケースであるといえるでしょう。

また、別居後間もない時期の不貞など、婚姻関係が破綻したとまではいえないものの、その一歩手前と評価されうる場合には、慰謝料が数十万円の範囲でのみ肯定される場合もあります。 このようなケースで弁護士費用などの裁判費用をかけても、掛けたコスト分の金銭を獲得できない場合があります。

このため、慰謝料請求をする上では、ご自身のケースがいくらくらいの慰謝料を受け取れる可能性があるのか、事前に弁護士に相談してから請求の有無を判断した方が良いといえます。

なお、相手方の保有資産が少なく、かつ、収入も少ない場合には、高額の慰謝料が認められても、実際に支払ってもらえる目途が立たないケースがあります。この場合にも、慰謝料請求をすることは実効的ではありませんから、得策とはいえません。

W不倫の場合

W不倫

さて、いわゆるW不倫(あなたご自身も、あなたの配偶者も共に不倫していること)の場合にも、慰謝料請求をすることはお勧めできません。

このケースでは、お互いに不貞の主張と証拠提出(立証)を行うこととなり、場合によっては両者の不貞相手を巻き込んだ四者間での紛争になってしまう可能性があります。こうなってしまうと紛争は泥沼化し、長期間解決に至らないことが想定されます。

その上、証拠の優劣や、あなたご自身の不貞の頻度・歴次第では、あなたの方が多額の慰謝料を支払う可能性すら生じます。

あなたが相手方に知られないように証拠を集めているのと同様に、相手方もあなたに知られないよう証拠を集めている可能性に注意しなければなりません。

これらの点から、W不倫の場合に相手方に慰謝料請求することはお勧めできないのです。

早期に離婚を成立させたい場合

最後に、早期に離婚を成立させたい場合にも、慰謝料請求はしない方が良いといえます。

どうしても慰謝料請求をした場合、慰謝料請求がない場合と比較して相手方の納得が得にくく、交渉が長引きがちです。そうしますと、例えばお子様の名字を進学前に早期に変更したなど、早期離婚をお考えの場合には慰謝料請求が適さないといえます。

このようなケースでは、むしろ慰謝料請求をしないから早期に離婚に応じてほしい、と求めるなど、慰謝料請求しないことを交渉材料とするべきとさえいえるでしょう。

ちなみに、不貞慰謝料は、時効期間(3年間)が過ぎるまでは、離婚後も請求できます。

上記のとおり、慰謝料請求しないことを交渉材料とした場合、離婚協議書などで慰謝料請求権を放棄することとなるでしょうから、不貞慰謝料をどのように扱うのか、ぜひ、専門家の意見をも踏まえてご検討ください。

2.不倫・浮気の慰謝料を請求しないメリット

さて、以上のとおり、不貞慰謝料を請求しない方が良いケースをご紹介しました。これらのケース以外であっても、不貞慰謝料を請求しない場合、メリット・デメリットがありますから、こちらもご紹介いたします。

まずはメリットをご紹介します。

①費用・時間等のコストを抑えられる可能性がある

慰謝料請求をする場合、上記のとおり、どうしても交渉や裁判が長期化します。慰謝料請求をせずに争点を減らした分、費用・時間等のコストを抑えられる可能性があることはメリットといえるでしょう。

②離婚交渉の材料とすることができる

次に、確たる証拠があるなど、本来は慰謝料請求が可能である場合には、慰謝料請求権を放棄するから早期に離婚に応じてほしい、と求めるなどの交渉材料とすることができます。証拠が多ければ多いほど、相手方が早期離婚に応じる可能性が高まるでしょう。

③慰謝料請求ならではのストレスがない

また、慰謝料請求をした場合は、慰謝料請求が「精神的苦痛」に対する賠償金であることもあり、相手方が事実を否定したり反論してきたりすることが、更なる苦痛・ストレスに繋がることがあります。このためにお互いに感情的になってしまって対立が激化し、離婚交渉全体が難航してしまう場合もあります。

このような状況となるリスクを回避できることは、慰謝料請求をしないメリットといえるでしょう。

3.不倫・浮気の慰謝料を請求しないデメリット

次に、不貞慰謝料を請求しないデメリットをご紹介します。

①金銭としての獲得額が減る

そのままのデメリットとなりますが、相手方から得られる金銭の獲得額が減少する点が一つ目のデメリットといえます。

離婚をする場合は、財産分与・養育費が主たる金銭請求権となりますが、これに加えて離婚後の生活に役立てるための金銭を取得しようと望むのであれば、慰謝料請求をしないことがデメリットとなります。

②感情のやり場がなくなる

二つ目のデメリットが、不倫・浮気をされたことによる負の感情をぶつける先がなくなり、感情のやり場がなくなることです。

やはり不倫・浮気をされた場合も怒り・憤り、やり場のない悔しさは、極めて強い思いとなって溜まっていきます。この点を解消するためには相手方に対して自分の思いをぶつけ、慰謝料を支払ってもらうよう請求することが適しているといえます。実際、交渉・訴訟などを経て最終的に慰謝料を受け取られた方の多くは、自分の気持ちに区切りが付いたと仰います。

費用・時間といった各種コストを費やしてでもこれらの感情をぶつけたいとお考えになる方はいらっしゃいますから、慰謝料請求をしないことでご自身の気持ちのやり場がなくなってしまうことは相応のデメリットといえるでしょう。

③離婚を選択しない場合、浮気・不倫を抑止することができない

三つ目のデメリットとしては、結果として離婚を選択しなかった場合に、その後の浮気・不倫を抑止することができないことが挙げられます。

浮気・不倫をしたと疑ったにもかかわらず、慰謝料請求もせず、例えば離婚交渉をしたものの最終的に離婚しないで夫婦関係を立て直す選択を取った場合には、相手方は何らのペナルティも受けません。これでは、相手方は味をしめ、再度同様の行為をするかもしれません。

これもまた、不貞慰謝料を請求しない場合の大きなデメリットといえます。但し、この点は、後述するとおり、不貞相手との接触をしない旨の誓約書・念書として一筆をもらうことで、ある程度ケアできます。

4.慰謝料を請求しない場合でもやっておくべきこと

仮に、今慰謝料請求をしないという選択を取ったとしても、以下の2点はやっておくべきといえます。

⑴ 証拠の収集

慰謝料請求をしない場合でも、不貞の確たる証拠を確保しておけば、離婚交渉全体を優位に進めることができます。

また、今は慰謝料請求しないことを選択したとしても、今後、相手方の態度次第では慰謝料請求をする選択を取ることになるかもしれません。

このため、なるべく同居中に、不貞に関する証拠を集めておくべきです。どのような証拠が有用かは、専門家である弁護士の助言を参考にしてご判断ください。

⑵誓約書等、一筆を受け取る

また、慰謝料請求をせず、かつ、離婚もしない場合には、今後同様の浮気・不貞をしないように、
①浮気の事実を認めさせて謝罪する内容
②二度と浮気をしない内容
③浮気相手と今後接触しない内容
などを記載した誓約書など、一筆書いてもらった書面を受け取っておくと良いでしょう。

この場合には、相手方が言い逃れしないよう、やはり事前に証拠を固めておくべきです。

5.慰謝料請求をするか迷っている方は弁護士へ

 

以上のとおり、不貞慰謝料を請求しない方が良いケースをご紹介し、不貞慰謝料請求のメリット・デメリットについてご紹介しました。

いずれの選択をとるにしても、あなたのケースがどのような事例になるのか、また、どの程度の慰謝料請求が肯定されうるのか、ぜひ、弁護士にご相談ください。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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