恋仲にある男女の関係には、少なからずそれぞれの恋物語が存在するかと思います。
また、その恋物語の中で、相手との間に「あ、この人と付き合うかも。結婚するかも」などの第六感(昔「ビビビ」なんて言葉が流行りましたが)が働くことがあるかと思います。
私とモラハラ夫との間にもそれらは存在しました。
今回は、私とモラハラ夫の恋物語と、私がモラハラ夫に感じた第六感をご紹介させていただきます。
以前にもお話ししておりますが、私とモラハラ夫は某SNSで出会いました。
私のSNSアカウントに対して、モラハラ夫がダイレクトメッセージを送ってきたことがきっかけでした。
それから数回、モラハラ夫と電話でのやり取りをし、いよいよ初めて会うことになった日、いわゆる初デートのお話です。
モラハラ夫との初めての待ち合わせの約束時間は真夏の暑い日の夕方でした。待ち合わせ場所は私の自宅近くのファストフードでした。
私は、それなりのオシャレをして出かけ、モラハラ夫が私の目の前に現れるのを待ちました。
ちなみに私は、モラハラ夫の顔を見るのはこの時が初めてでした。
それでも、人間は不思議なもので、何度かコミュニケーションを取っている間柄であれば、自然とその相手を見つけることが出来るのだと思います。
そのとき、私の最初の第六感が働きました。
私は大勢いるファストフード店の客の中から、すぐにモラハラ夫を見つけ出すことができました。
その見た目は、私の好みからすると、可もなく不可もなくでした。真面目そうな人。そういう印象でした。
モラハラ夫は、私を見つけ、軽く挨拶をしたあとに、私に対してこう言いました。
「もっと地味な子が来るかと思ってたよ。」
モラハラ夫からすると、SNSを通じて男性と会う女性は、地味なタイプだという固定概念があったようです。
そして、モラハラ夫は私をとあるデートスポットに連れて行きました。
はじめ、モラハラ夫は、私をどこに連れて行くのか教えてくれませんでした。
こういうミステリアスでサプライズな演出をされることに女性はめっぽう弱いのです。
“ワクワク”“ドキドキ”そんな感情を女性に抱かせて、一気に恋愛対象へと変化させます。
そうして辿り着いた先は水族館でした。
夏の水族館は夜遅くまで開館しているので、夕方から出かけても十分楽しむことができます。
私は水族館が好きです。
そこで、私の次の第六感が働きました。
「私の大好きな場所を初めてのデートに連れて行ってくれるなんて、この人と私って気が合うのかも。」
しかしながら、今になって思うのですが、女性で水族館が嫌いな人はそれほど多くいないはずです。しかも水族館は定番のデートスポットです。
なので、別にモラハラ夫は、私と気が合ったわけではなく、一般的に女性が好きな定番のデートスポットに私を連れて行っただけのことでした。
けれど、そこは口が達者なモラハラ夫です。
このとき私が「私、水族館好きなんだ。よく私の好きな場所がわかったね」とモラハラ夫に話すと、モラハラ夫は「僕は、○○ちゃんがきっと水族館が好きだろうと思ってここにしたんだよ。喜んでくれて良かったよ」と返してきました。
水族館の入場口で、モラハラ夫は私に「ここ数回の電話は、○○ちゃんが僕を警戒して非通知で掛けてきてたから、今日はこれまでの電話代のこともあるから、ここの入場券は僕に全部おごらせてね」と言いました。
単純すぎる私は「なんて気遣いのできる優しい人なんだろう」と思ってしまい、またひとつ、私のモラハラ夫への見方が、恋愛対象として変化していくのでした。
水族館を楽しんだあと、すっかり陽が落ちて暗くなった夜の港を二人で歩くことになりました。
海沿いを歩きながらしばらく二人で会話を楽しんだ頃、またしてもモラハラ夫から私へのサプライズ演出が発動されたのです。
モラハラ夫は、私を街灯の灯った明るい海沿いの道路から、薄暗い港沿いの公園へと連れていき、そのまま公園の中をどんどん突き進んで行きました。
私は、そのとき咄嗟に「ヤバい!犯される」と思いました。どうやってこの場を逃げ出そうかと思考を巡らせていると、気がついたら公園を通り抜けて、私たちはある場所に辿り着いていました。
そこは、公営の渡船の船着き場でした。
「○○ちゃん、この船乗ったことないでしょ。乗ってみよう。無料なんだよ。」
女性は、男性の素朴で庶民的な側面が垣間見えると、また一気に恋愛対象度合いが深まります。
「犯される」と思って連れて行かれた場所が無料の渡船であったため、私はすっかりモラハラ夫を信用してしまいました。
そうして、初デートを楽しんだあと、帰り道のファミレスで私とモラハラ夫は少し遅めの食事をすることになりました。
そこで、私のその日最後の第六感が働きました。
二人でファミレスで食事をしていると、私はモラハラ夫のある行動に違和感を感じました。
モラハラ夫が食事の時に使う紙ナプキンの枚数が、世間一般の人が使う枚数よりも尋常じゃないほどの多さだったのです。
どれほどの枚数かというと、薄めの紙ナプキンが満タンにストックされているものを、1回の食事でほとんど使ってしまうほどでした。
食事を一口、口にしては1枚、また1枚、そしてまた1枚と、留まるところを知りません。
私は「あ、このひとちょっと変わってるかも」という違和感という第六感が働きました。
しかしながら、その違和感という第六感よりも、その日のそれまでの出来事のほうが私の中で比重が大きかったため「まぁ、そういう人も世間にいてもおかしくないのか」と、自分の感覚を否定してしまったのです。
今になって思うことは、あのときの私の第六感は決して間違っていなかったのだと。
あの時の違和感を受け入れておけば、その後の10年をモラハラに苦しむことなく過ごすことができたのにと。
清武 茶々
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