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【第18話】食事にまつわるエトセトラ

投稿日:
更新日:2024/07/29
小説版

夫婦共同で生活を営んでいると、当然ながらほぼ毎日のように二人で食卓を囲みます。

私にとって、モラハラ夫と食卓を囲むことやモラハラ夫に料理を作ることは、モラハラ夫のモラハラのスイッチが入ってしまうのではないかと、常に心が休まらず、気を遣う時間でした。

(そうは言いましても、モラハラ夫と婚姻している期間中、心が休まったことは一瞬たりともなかったというのが事実です。)

今回はモラハラ夫と私の食事にまつわるエピソードをご紹介させていただきます。

①カレーは何の肉か問題

この問題は食文化の話でも一般的に出てきます。皆さんも一度は誰かと話したことがある話題かもしれません。

この、カレーに入れる肉は「牛肉」か「豚肉」かという論争が、私とモラハラ夫にも発生したことがありました。

私がモラハラ夫と婚姻して間もなく、夫婦の食卓にいよいよ初めてカレーが並ぶ日の話です。

ある朝、私が出勤の準備をしながらモラハラ夫と会話していた時、話の流れから、その日の夜はカレーを作って食べようということになり、私は冷蔵庫の中の材料を確認しました。

その日、冷蔵庫の中にはカレーに使う肉がありませんでした。

私は、モラハラ夫にカレーに使う肉がないから、その日私が帰宅したら一緒に肉を買いに行こうとモラハラ夫に言いました。

「カレーに使う豚肉がないから買いに行こう」と。

私の育った地域はカレーには豚肉を入れる地域でした。

「ちょっと待て。カレーに豚肉を入れるなんて聞いたことない。カレーに入れるのは牛肉だろう。お前、頭おかしいんじゃないか」

モラハラ夫の育った地域はカレーには牛肉を入れる地域でした。

きっと、良好な夫婦関係の二人であれば、カレーの肉は何かという話で地域毎の食文化の話題で会話が盛り上がったかもしれません。

しかしながら、皆さんご存知のように私とモラハラ夫との関係ではそういうことは一切起こりません。

カレーに豚肉を入れることがどれだけおかしいということを、懇々と説かれ、気が付けばカレーに牛肉を入れることを知らない私自身の人格否定が始まっていました。

これ以降、私が作るカレーのお肉が牛肉になったことは、容易に想像が付くのではないでしょうか。

ちなみに私は牛肉が入ったカレーも、豚肉が入ったカレーもどちらも大好きです。

カレーに罪はありませんから。

②恐怖のタコ焼き弾

私とモラハラ夫が住んでいた地域はタコ焼きが有名な地域でした。(どの地域か簡単にお分かりかと思います。)

一家に一台タコ焼き器があり、自宅でタコ焼きを作ることが頻繁にあります。家族でタコ焼き器を囲みながら家族揃って、ああでもない、こうでもないと言いながら楽しそうにタコ焼きを焼くのです。この地域ではタコ焼きを作ることは家族団らんのひとつです。

けれど私は自宅でモラハラ夫とタコ焼きを作るのが大嫌いでした。

なぜなら、モラハラ夫とタコ焼きを作り始めると、食卓が片付くのが大抵深夜になるからです。

なぜ深夜になってしまうかと言うと、モラハラ夫とタコ焼きを作るとなると、数百個単位になってしまうからです。

これまでに何度もお話ししていますが、モラハラ夫は自宅で仕事をしています。

そのため、昼食も自宅で摂るため、タコ焼きを大量に作るとモラハラ夫の昼食のストックが出来ます。

この数百個のタコ焼きは、ほとんどがモラハラ夫の昼食のためのものなのです。

私が仕事から帰宅するのが大体20時くらいです。そこからタコ焼きの材料を準備し、家庭用のタコ焼き器で焼きに入ります。

家庭用のタコ焼き器は電気で熱するため火力が弱く、焼き上がるのに時間がかかります。そして、当たり前ですが返しも自分でしなければなりません。

この作業も結構疲れます。こうして、自分たちの晩ご飯として食べるタコ焼きと、モラハラ夫の昼食のために食べるタコ焼きの数百個を作るのです。

すべてが焼き上がると私はいつもクタクタでした。仕事の疲れとタコ焼きの料理疲れと合わさり、激しい睡魔に襲われます。

そんなクタクタな作業をすべて終え、あとはモラハラ夫のストック用に20個程度を小分けにしていた時のことです。

ストック用のタコ焼きは、モラハラ夫が冷凍庫から取り出して簡単に温められるように、1皿ずつ、20個程度をのせてラップをして冷凍保存するようにしていました。

この作業をモラハラ夫と手分けしながらしていた時のことです。

当時、私たち夫婦の住んでいた住まいは1DKの30㎡ほどのマンションで、リビングもとても狭く、食卓も単身者用の小さな座卓を使用していました。タコ焼きを数百個も焼くと、食卓に皿を置く場所もありません。皿は床の上に十数枚重ねて置いていました。

モラハラ夫から「皿1枚取って」と言われたため、私はフローリングの上に重ねていた皿を1枚手に取りました。

そして、その皿を、食卓にのった大量のタコ焼きの上をまたぐようにモラハラ夫に渡しました。

すると、モラハラ夫の表情が一瞬にして怒りに変わり、私に向かってタコ焼きをどんどん投げつけ始めたのです。

「お前汚いことすんなよ!床に置いてた皿を食べ物の上から渡すとかあり得ないわ!」

ちなみにモラハラ夫はかなりの潔癖症でした。

そのため、私のモラハラ夫への皿の渡し方が気に入らなかったようです。

モラハラ夫の怒号が飛び、タコ焼きが小さな爆弾のように私に次々と投げつけられます。

私は、熱いのと痛いので泣き出しましたが、それでもモラハラ夫の手は止まりません。

終いには「このタコ焼き全部要らんわ!」と言って、苦労してクタクタになりながら焼いたタコ焼きを全てゴミ袋に捨ててしまったのです。

こうして、あれだけ苦労して焼いた数百個のタコ焼きはすべてゴミとなってしまいました。

この他にも、私とモラハラ夫の食事にまつわるエピソードがいくつか存在します。

いずれまたどこかでご紹介させていただきます。

ちなみに私はタコ焼きが大好きです。タコ焼きに罪はありませんから。

清武 茶々

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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