算定表では、学校教育費は考慮されていますが、公立の幼稚園から高校までは考慮されているものの、私立の高校や大学の学費は考慮されていません。
具体的には、0歳から14歳までの公立中学校の子がいる世帯の年間平均収入の基礎収入に対する公立中学校の学校教育費相当額のみ、15歳以上は、公立高等学校の子がいる世帯の年間平均収入の基礎収入に対する公立高等学校の学校教育費相当額のみが考慮されています。
私立の学費等は、公立学校よりも多額になるため、私立の学費等を考慮する場合には、算定表による算定結果に、不足する金額相当額を加算する方法で補うこととなります。
算定方法は複雑ですが、算定表にて既に考慮されている世帯平均収入に対する公立学校教育費相当額の統計結果、年齢、具体的に必要となる私立の学費の金額等から算出をします。
また、一度決めた養育費の増額を求める場合にも、従前、進学に支払義務者が承諾をしていたかという点や、支払う金額が世帯の収入水準からして相当であるかを考慮することとなります。
その場合、たとえ進学について義務者の承諾がなかった場合でも、進学した事情、義務者の収入、双方の学歴、職歴、子どもの特性等といった事情から、進学の承諾があったものと推定をされる場合もあります。
養育費を決めた後に大学に入学した子について、大学進学の了解の有無、支払義務者の地位、学歴、収入等を考慮した裁判例として、東京高裁平成29年11月9日審判等があります。
子の私立高校に進学を理由に、元夫に養育費の増額を求め、「子らがそれぞれ成人に達する日の属する月まで、一人当たり毎月5万5000円ずつを支払うこと」を述べた審判に不服があるとして、元妻が同審判へ即時抗告をしました。
東京高裁平成29年11月9日審判の前に、子が大学に進学したこともあり、裁判所は、大学の学費の支払義務は、大学進学了解の有無、支払義務者の地位、学歴、収入等を考慮することを示した上で、(1)子が私立高校に進学することに反対し、私立大学への進学も了解していなかったこと、(2)収入はわずかで、元夫に扶養すべき子が多数いる中で、私立大学に進学した子に、奨学金やアルバイト収入で補うように求めることは不当ではないこと、(3)収入はほとんど変化がないことなどを理由に、子の大学費用の支払義務はないと判断しました。他方で、大学生で、自立して生活できる収入は得ていないことから未成熟子として通常の養育費の支払期間の延長を認めました。
私立学校に通う子の養育費について争いが予想される方は、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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