夫(妻)名義の不動産に住んでいる。ローンも夫(妻)名義である。離婚後も住み続けたい。どのような方法があるか?
婚姻期間中に夫または妻名義で購入した不動産を離婚後どう扱うかについては、基本的に、財産分与の手続きにおいて決められます。
相手方名義で、ローンも相手方名義の不動産に離婚後も住み続ける方法をいくつかご紹介します。
不動産とローンのいずれも自分の名義にする
財産分与は婚姻中に夫婦が築いた財産を離婚にあたり分配する制度です。分配する割合は財産取得と維持に対する寄与の割合によって決まりますが、原則として2分の1とされており(2分の1ルール)、この割合が修正されるケースは例外的なケースにとどまります。なお、令和6年5月に成立した改正民法において、2分の1ルールが法律上も明記されました。
2分の1ルールにしたがって財産を分配するときに、あなたが不動産を取得できる状況にある場合には、不動産とローンをご自身の名義とすることによって、離婚後も不動産に住みつづけることが可能です。
ただし、そのためには、不動産以外の財産を相手方が取得することで2分の1ルールを実現できることが必要であり、他の財産では足りない場合には、あなたが不足分を代償金として支払う必要が生じます。
また、ローンの名義を変更するためには、債権者である金融機関の同意が必要になります。金融機関はあなたの収入や資産をもとに名義変更に同意するかどうかの審査をしますが、名義変更の際、ローンの一部の繰上げ返済などの条件を求められることもあります。あるいは、他の金融機関から借り入れたうえで、現在のローンを一括返済する(借り換える)という方法もあります。
期間を定めて使用貸借契約をする
2分の1ルールによる財産分与によって不動産を取得することが困難なケースにおいて、相手方との間で、期間を定めて、不動産の使用貸借契約を締結するという方法があります。
使用貸借とは、物を無償で(使用料をとらずに)貸すことをいい、無償である点が、物を有償で(使用料をとって)貸す賃貸借と異なります。
離婚にあたり、不動産の名義をもたない当事者が不動産に住み続ける必要があるのは、お子様の学校の都合や経済的な事情からのケースが多いため、例えば、お子様が学校を卒業するまでの期間を契約期間として、使用貸借契約を結ぶことによって、必要な期間、不動産に住み続けるようにするという方法があり、実務上、比較的よく行われます。
この場合、ローンの名義は相手方のままであり、あなたが不動産に住み続けている間も、相手方がローンを負担します。
そのため、使用貸借で定めた期間中であっても、相手方にローンを支払えない事情が生じてしまった場合には、不動産に住み続けることができなくなるリスクがあります。
また、使用貸借をする場合には、トラブルを防ぐため、契約期間中に発生する費用(固定資産税、修繕費等)について予め定めておくことが必要です。
相手方がローン完済後に不動産の名義を自分に変更してもらう約束をする
相手方が有責配偶者である、別居期間がまだ短期であるなどの事情から、離婚請求が認められない状況で、相手方が急いで離婚をしたいなどというケースでは、相手方が財産分与において、2分の1ルールから大幅な譲歩をする場合もあります。
このような場合などには、財産分与において、不動産をあなたが取得するものとしつつ、ローンは相手方が完済まで支払い、ローン完済時に不動産の名義をあなたに移転するという合意がなされることがあり、この場合にも、離婚後、あなたが不動産に住み続けることができます。
かなり特殊なケースではありますが、実際に上記の条件で合意に至ることもありますので、状況によっては交渉してみることがおすすめです。
もっとも、この場合も、相手方にローンを支払えない事情が生じた場合のリスクは使用貸借契約をする場合と同様です。
弁護士に相談
相手方名義で、ローンも相手方名義の不動産に離婚後も住み続ける方法をいくつかご紹介しました。もっとも、おかれている状況によりとりうる方法は様々ですので、この問題について疑問をお持ちの場合には、一度弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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