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弁護士が解説!元パートナーから「あげたものを返せ」と言われたら返さないといけない?

投稿日:
更新日:2024/09/27
事例紹介 その他 モラハラ 男女トラブル

疑問点

子供

 交際関係にあった元パートナーから、交際期間中に元パートナーからもらったプレゼントや交際にかかった費用の返還を求められています。私は元パートナーの返還要求に応じなければならないのでしょうか?

回答

子供

 基本的に返還に応じる必要はありません。元パートナーの行為は贈与に該当するからです。もっとも、単なる交際関係か婚約まで至ったかによっては考慮すべきポイントが異なる場合があります。

子供

 この点について、交際期間中のプレゼントや費用の返還を求められた場合、応じる必要があるのかどうか判断した裁判例(大阪地判昭和43年1月29日 昭和41年(ワ)第3899号)がありますのでご紹介します。
 本事例は、一度は婚約までに至った男女が婚約を解消したことに基づき、男性が女性に対し交際期間中の金品贈与の返還を求めたものですが、婚約に至らずとも、一般人の認識としてプレゼントや交際にかかった費用は原則として贈与に該当すると考えられる点で参考になります。
 本事例では、「原告が、~被告~に与えた金品についてみると、もともと交際期間中における婚約中の男女間の金品の贈りものは、配偶者となるべき相手方に対する愛情の念からでるものであって、通常それらはなんら、反対給付を予想してなされるものではなく、また後日返還を求めることのあることを予想してするものでもない、むしろ当事者は所謂貰い切り、遣い切りの積りでするのを一般とするから、特に当事者がその旨を明らかにしてしない限りこの種の贈与を婚姻不成立を解除条件とする贈与とみることはできないのであり、従ってそれが履行されれば、原則として返還を請求しえないと解すべきである」と判示しています。
 この裁判例からすると、交際期間中のプレゼントや費用については、交際関係解消時にプレゼントや費用等を返還することを条件とすることを合意したなどの事情がない限り、返還に応じる必要はないということになります。

子供

 なお、同裁判例は、婚約関係にあった男女の贈与について、返還請求が可能となる場合の考慮要素を上げています。裁判例によると、婚約関係にまで至れば「将来自己の配偶者になるべき者という特別な地位にある者に対してなされるという特殊な契機を持つ」から「当事者の婚約が解消された場合において、受贈者(贈与を受けた方)は一切返還を要しないとすることもまた、人情に反する酷な結果となることがある」と前置きしたうえで、①返還について特別な合意をしていた場合、②婚約解消の原因が贈与を受けた者の有責行為(不貞行為等)に基づく場合、③婚約破棄が正当な理由によるものではないとき、④贈与者の地位収入を比較して不当に高価高額である場合、⑤物品を手中に残しておくことが無意味である場合について、返還請求をなし得るとしました。
 このように、婚約関係にあった場合については、上記考慮要素に従って返還を求められる可能性があります。

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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