エネ夫とは？その意味と対応について

「エネ夫」という言葉を皆様は聞いたことがあるでしょうか。英語の「Enemy」(敵)と「夫」とを合わせた造語です。この「エネ夫」とは、英語の「Enemy」からわかるとおり、本来妻の味方であるはずなのに、逆に敵となって妻を苦しめるような夫を意味します。そのため、いわゆる「モラハラ」の一類型と考えることもできると思います。

エネ夫の具体例としては、例えば、友人や親族の前で妻の誹謗中傷をする、他人から妻が非難されていても助けようとしない、それどころか当該他人と一緒に妻に対して行う、妻の親族との関わりを持とうとしない、子供に妻の悪口を言う及び生活費を十分に渡さないといったものが挙げられます。

エネ夫に対する対応方法としては、①話し合う、②夫婦カウンセリングを利用する、③別居や離婚を検討するといったものが考えられます。
まず、エネ夫の言動がまだ軽微で、改善の余地があると考えられる場合に①話し合うことが考えられます。エネ夫としても、自身の言動について妻がどのように感じているか自覚していないケースも想定されます。そのため、率直に話をすることにより、エネ夫の言動も改善するかもしれません。
次に、①話し合いを行なっても改善が見られない場合には、第三者の力を頼ることが考えられます。そして、②夫婦カウンセリングがその一つの方法と考えられます。お互いの気持ちをカウンセラーを通じて確認し、改善の方法のヒントも得られるかもしれません。このようにカウンセリングの中でお互いの気持ちを整理し、関係改善が見込めれば新たに夫婦関係を継続することもできると考えられます。
① 及び②の両方を試しても、エネ夫の言動が改善しない場合には、別居や離婚も選択肢の一つもなりえます。別居し、物理的にも距離を置くことでエネ夫も冷静に自身のこれまでの言動を省みて、言動が改善するかもしれません。また、この段階になれば離婚も現実的な選択肢になっていると考えられます。

離婚については、夫婦双方が離婚に合意すれば離婚は可能です。しかし、エネ夫が素直に離婚に応じるかには疑問も残るところです。そこで、合意がなくても離婚ができるかが問題となります。結論としては、婚姻を継続しがたい重大な事由にあたるほどの言動がエネ夫に認められれば離婚の可能性があります。ただし、エオ夫の言動は、継続的に繰り返し行われるものであり、かつ、言動に関する客観的な証拠が常にあるとは限りません。そのような場合、今後どのように離婚の話を進めていけば良いか、そもそも離婚をするにあたって必要な手続きについて悩まれることもあるとも思います。その場合、一度、自身が取りうる手段を知っておくという観点からも一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

以上、エネ夫の具体例、対応方法等について解説いたしました。このようなエネ夫のもとで生活を継続していくことは身体的にも精神的にも負荷が大きいといえます。また、最後に解説したとおり、離婚に踏み切る場合には、エオ夫が離婚に応じないことも想定して、自身が取りうる手段を知っておくことも重要と考えられます。エネ夫にお悩みの方はぜひ一度弁護士に相談することを検討していただければと思います。