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【3.5話】結婚はモラハラ地獄のはじまり

投稿日:
更新日:2024/11/01
小説版

 モラハラ夫と私の結婚は、私がモラハラ夫と出会い、交際を始めてから、そう長くはない期間での出来事でした。

 モラハラ夫と出会ったころ、私の周りは結婚ラッシュに沸いていました。

 次から次へと友人に先を越されていく現実に焦りを感じ、かつその当時交際していた男性との結婚を考えられなくなっていた頃、私はモラハラ夫と出会いました。

 そして、モラハラ夫と交際することになり、私の頭の中は結婚に向けて一直線でした。

 これまでのエピソードでもご紹介しているとおり、モラハラ夫に違和感を抱くことはありつつも、このチャンスを逃せば自分は婚期を逃してしまうと考えていました。

 また、私は、20歳を過ぎるまで男性と交際した経験がなく、モラハラ夫と出会うまでの男性経験が少なかったため、自分が男性と付き合えることは奇跡に近く、この人を逃すと一生誰とも付き合えないとも考えていました。

 そのため、私は結婚に向けて必死でした。
 友人の結婚式に出席すると、その後必ずモラハラ夫にその結婚式の様子を報告し、モラハラ夫の結婚願望を高めることに必死でした。

 ところが、私が結婚式出席後の報告をし始めてから数回、ついにモラハラ夫はそのことに対してモラハラを繰り出してきました。

「あのさぁ、〇〇、何がしたいの?俺に結婚でもしてほしいの?
 結婚しても、〇〇との関係は今と何も変わらないよ。
 むしろ、最近は籍を入れない事実婚を選ぶカップルだって多いんだよ。
 それから、結婚したら家と家との付き合いだって増えるだろうし、そうなったらせっかく俺が〇〇を親から引き離してあげたのに何の意味もなくなるだろう。
 それなのになんで〇〇は俺がしたことを台無しにしようとしてくるの?
 そこまでして結婚したいの?
 それに俺は結婚するとなっても結婚式をするつもりはないよ。
 ○○の話を聞いてたら、結婚がしたいんじゃなくて、結婚式がしたいんじゃないの?
 結婚式なんて金がかかるだけで、誰を呼んで誰を呼ばないとか余計なことを考えないといけないし、やるだけ無駄なんだよ。そうであれば結婚自体する意味ないよね。」

 モラハラ夫はそんなことを言ってきました。

 相変わらずのモラハラっぷりです。
 私は、モラハラ夫の言い分にひれ伏して、このまま話を終わりにしようと思いました。
 再びモラハラを繰り出されるのが怖かったからです。
 しかしながら、この時ばかりは結婚というゴールをつかみ取るため、私は一生分の勇気を振り絞って、恐る恐るモラハラ夫に立ち向かいました。

「○○くんの言っていることはよくわかるよ。
 だからこそ私は○○くんと結婚したいんだよ。
 結婚したら○○くんと家族になれる。
 そしたら、私は本当の意味で親から離れられるんだよ。」

 はじめは、弱々しい声ではありましたが、何が何でも結婚に執着していた私は、モラハラ夫が結婚の話題を出してきたこのタイミングをチャンスと捉えていたのでしょう。
 次第にスラスラと言葉が出てくるようになっていました。

「それに私は昔から結婚式を挙げたい願望は1ミリもないよ。
 結婚式なんて○○くんの言うとおり、お金がかかるだけで招待客をどうしようかとか、面倒くさいことばかりだから、むしろそんなことにお金を使うんじゃなくて、二人だけの旅行とかにお金を使おうよ。
 だから結婚式がどうとかじゃなくて、私は○○くんとずっと一緒にいたいから結婚したいんだよ。
 私は○○くんにこの先何があっても養っていくし、この先何があっても一生私が○○くんを守るから、だからお願い。結婚しよう。」

 こうして、見事に逆プロポーズを決めた私は、モラハラ夫と結婚することになったのです。
 ただ、私が憧れを抱いていた結婚への道のりとは180度違っていることは明らかでした。

 できることならプロポーズをされてみたかったですし、結婚式もしてみたかったというのが本音でした。
 それでも、なんとか結婚というゴールに辿り着けたのですから、当時の私はこれでよかったのだと自分自身を納得させていました。
 この結婚が更なるモラハラ地獄の始まりとも知らず。 
清武 茶々

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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