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【4話】髪型はモラハラ夫の言いなり

投稿日:
更新日:2024/11/01
小説版

話し合い

私は、大学時代から、美容やファッションが大好きでした。
モラハラ夫と出会った当時の私は、髪型はセミロングの茶色で巻き髪、メイクもアイメイクが濃いめで、服装は赤文字系女性ファッション雑誌から出てくるような、典型的な見るからに流行り物が好きそうな見た目をしていて、周囲の人には明るい印象を持たれていました。

特に私は、美容院に行くことが大好きでした。
そのため、美容院には2ヶ月に一度、お給料が出て最初のお休みの日に行っており、毎回担当のスタイリストさんがお勧めする新色のカラーリングをして、カットをすることがお決まりになっていました。

そのペースは、モラハラ夫と出会って交際してからも変わりませんでした。

しかし、モラハラ夫と婚姻して、半年ほど経ってからのことでした。
ある日自宅で、私が次の休みに美容院の予約を取ったことを伝えました。

すると、モラハラ夫がこういうことを言い出しました。
「○○は、今度美容院に行くとき、黒染めをしてみなよ」

黒染め?

黒染めは、大学時代の就活以来やったことがなく、正直言って抵抗感がありました。

私は、そのことを素直にモラハラ夫に告げようと思いました。
ですが、この頃の私は、モラハラ夫に対して、ものの言い方を気をつけなければ、
モラハラ夫がすぐにキレてしまうことを少しは学習しておりましたので、言葉を選んで伝えたつもりでした。

「○○君の提案はすごく有り難いよ。すごく嬉しいよ。でもね・・・」
と切り出し、黒染めは抵抗感があることを話しました。

すると、モラハラ夫は
「わかった。もういいわ。もうお前には何も言わないわ」と言って、一気にいつもの沈黙キレモードに入ってしまいました。

結局モラハラ夫にはどんな言い回しをしても、モラハラ夫自身の意見を否定されたのならば、結果はすべて一緒と言うことが改めてわかります。

ですが、その時の私は、それどころではありません。

なんとかこの事態を打破しようと、何度も何度も謝りましたが、後の祭りでした。

そこから3日間、モラハラ夫の機嫌が直ることは全くなく、ようやくちゃんと話しができたのは、私が美容院に行ってあることをしてからでした。

もう皆様お分かりかと思います。

そうです。私は、髪を黒く染めたのです。

そして、モラハラ夫にこうも言いました。
「黒髪!すごく気に入ったよ!本当にありがとう!」

それは、本心ではありませんでした。必死で挽回するためでした。
するとモラハラ夫は鬼の首を取ったようにこう言いました。
「ほらね!やっぱり!俺の言うとおりだ。お前は俺の言うとおりにするのがいいんだよ。
この前のお前はめちゃくちゃ否定してたけど、俺の言うことに間違いはなかったね。
これからはずっと黒染めした方がいい。むしろ髪型も俺の言うとおりにしたほうがいいよ」
それからの私は、自分の好きな髪型は一切出来なくなりました。

モラハラ夫は一般的に、妻を自分の支配下に入れるため、激しい束縛をしてきます。

この一件がまさしくそうです。
私は、それまで毎日のように髪を巻いていましたがそれも出来なくなりました。
大好きだった美容院も、これまでのペースでは行けなくなりました。
美容院には、行けて半年に1回、ひどいときは、1年に1回しか行けなくなりました。
それ以降、モラハラ夫と離れるまで、私の髪型は、黒髪でワンレンの、長さは腰の位置まであるスーパーロングヘアーになりました。

私は、周りの人から、それまでの明るい印象から、暗い印象を持たれるようになってしまいました。

清武 茶々

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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