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【第14話】モラハラ夫の生い立ち

投稿日:
更新日:2024/11/01
小説版

一般的に、モラハラ加害者になる原因は、人によって様々ですが、多くの場合幼少期の家庭環境が大きく関係しているといわれています。

私のモラハラ夫も、お世辞にも決して良いと言える家庭環境では育っていませんでした。

今回は、モラハラ夫の生い立ちをご紹介させていただきます。

私のモラハラ夫は、4人きょうだいの末っ子として生まれました。

上3人は女の子で、いわゆる末っ子長男でした。実家は自営でサービス業を営んでおりました。

これからお話しするのは、モラハラ夫が幼少期の家族とのエピソードです。

まずは父親との関係です。

余談ですが、私には弟が一人います。

そのため、私の父と弟との関係を目の当たりにしながら、私の固定概念として、父親と息子との関係は、家族の中でも男同士の固く深い絆があるものだと考えておりました。

私の父と弟は休みの日にはよく二人で外に出かけ野球をしていました。遊び終わると二人で銭湯に行って帰ってくるのが私たち家族のお決まりの日常でした。

私の頭の中には、父と弟の楽しそうな笑顔が今でも鮮明に残っています。

話を戻して、モラハラ夫と父親との関係です。

私のモラハラ夫には、父親と遊びに行った思い出がほとんどありません。

モラハラ夫が父親と一緒に出かける場所と言えば、父親が趣味にしているパチンコだったそうです。

それ以外は、モラハラ夫の父親は家でゴロゴロして、家族にも息子にも不干渉だったそうです。

次に母親と姉たちとの関係です。

モラハラ夫の家族が、休みの日に全員で出かけるとなると、男家族と女家族の二手に分かれて行動するそうです。

と言うのも、上述のとおり、モラハラ夫の父親の趣味がパチンコだったため、パチンコに専念するために必然的にそうなったのだと思います。

けれど、幼少期の子どもがそう何度も大人のパチンコについて行っても楽しいものではありません。

きっと、2、3回もすれば飽きてしまうと思います。

そのため、モラハラ夫は家族で出かける時は、父親にではなく、女家族と一緒に行動することが増えていったそうです。

しかしながら、モラハラ夫が女家族と行動すると、母と姉3人からとても邪険に扱われていたそうです。モラハラ夫は、姉3人から「なんでこっちについてくるの。邪魔なんだけど」と言われ、母親からも、「お父さんのところに戻りなさい」と言われることがしばしばあったそうです。

終いには、姉たち3人の仕業によって、出かけていたショッピングセンターにモラハラ夫だけ1人置き去りにされ、当時5歳だったモラハラ夫は、泣きながら歩いて帰宅したことがあるそうです。

そして極めつけは、モラハラ夫が大学に入学するときの話です。

モラハラ夫は、高校卒業後、大学に入学することにしました。

そのときの入学金はすべてモラハラ夫が高校在学中にアルバイトで貯めたお金で捻出したそうです。

それ以外の学費は、奨学金を借りることにし、親の援助は一切受けずに大学に行くことにしました。

モラハラ夫は、入学前、アルバイトで日中忙しくしていたため、入学手続きを母親に託したそうです。

その際、入学金をすべて現金で母親に預けており、入学手続きの締め切り日までに大学に送金するようにと依頼していたそうです。

入学手続きの締め切り日の夕方、アルバイトから帰宅したモラハラ夫は、母親に対して、入学金の送金手続きは完了したかを尋ねたそうです。

すると、母親からの返答は何とも言えない曖昧なものだったそうです。

モラハラ夫は不審に思い、何度も何度も母親を問いただし、ようやく返ってきた母親からの答えは「預かっていたお金を全部自分のために使ってしまった」というものでした。

モラハラ夫は絶望したそうです。

そして、母親は謝罪することもなく、言い訳ばかりしか返ってこず、家族も誰一人としてモラハラ夫に同情することはなかったそうです。

結局、モラハラ夫は大学に入学することが出来ませんでした。

すべてに絶望したモラハラ夫は、二度と家族を信用しないと心に誓ったそうです。

私は、これらのエピソードを聞いてこう思いました。

「可哀想。この人を支えられるのは私しかいない。子どもの頃に愛情を受けられなかった分、私が精一杯の愛情を注ごう。」

この考え方が、いわゆる共依存の関係です。

私は、モラハラ夫との婚姻期間中、モラハラに遭う度、何度も何度も別れを考えました。

しかしながら、共依存の関係に陥っているため、別れることを考えると、必ず私の頭の中に

「いや、この人には私しかいないんだ。この人は私と別れてしまうと、独りぽっちになってしまう。」

その考えが巡り、結局別れることができなくなってしまうのです。

皆さん、今回のこのエピソードをよく覚えておいてください。

共依存の関係にありながらも、この数年後、私がモラハラ夫の一番嫌う行動をしてしまったことにより、私たちの婚姻関係が一気に悪化していきます。

モラハラ夫が一番嫌う行動のヒントがこのエピソードに隠れていますので。

清武 茶々

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【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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